全然堂歳時記 秋の部
【流れ星2】ながれぼし
全然堂歳時記=現在、本号を含め92記事=春夏秋冬–年末年始=29-21-19-16–3-4
/日付
子季語:流星、夜這星、星流る、星飛ぶ、星走る、走り星
※「星降る」は季語に非ずと今回、初めて知りました/2023.10.27
人気成分:夜、闇、空、海、地、山、尾、旅、消
目次
◎葉書俳句
◎テキスト
神山の滴る如し流れ星 ハードエッジ
滴る星:
流星の滴る島に泊つるなり 正木ゆう子
澄む水に数多の星を滴らせ ハードエッジ
枯木星朝のめざめにしたたりぬ 石田波郷
満天の星に送られ流星は ハードエッジ
送られ:
春ゆうべ工女帰郷を見送られ 岸風三楼
見えずなるまで見送られ入学す 石井とし夫
満開の花に送られ花筏 ハードエッジ
蝉声に送られて喜雨去り行けり 相生垣瓜人
送られつ別れつ果ては木曽の秋 松尾芭蕉
送られて一人行くなり秋の風 正岡子規
母親に見送られけり角力取 松岡青蘿
寒凪や妻に送られかの舟も 高田風人子
星は点、流星は線、光るなり ハードエッジ
先行句:
線と丸電信棒と田植傘 高濱虚子
大気圏突入注意流れ星 ハードエッジ
大気:
凧揚や大気圏内よく晴れて ハードエッジ
鶴の引く大気漲りはじめけり 稲畑汀子
石楠花や朝の大気は高嶺より 渡辺水巴
新緑や風吹くかぎり大気圏 小川軽舟
筍の尻を大気に晒し置く ハードエッジ
大陸の大気冷たく来りけり ハードエッジ
小寒の雨に大気のゆるみけり 稲畑汀子
星座にはなれぬ嘆きの流れ星 ハードエッジ
嘆き:
菜種梅雨胃弱を嘆き合えば朋 池田澄子
麦を踏む父子嘆きを異にせり 加藤楸邨
臥すは嘆き仰ぐは怨み流し雛 岡本眸
涅槃図の揺れを衆生の嘆きとも 若井新一
げんこつを膝に涅槃を嘆きをる 中本真人
木蓮の花のなげきはただ高く 中村草田男
逆縁の嘆きこの世は花吹雪 柴田白葉女
香水の香のそこはかとなき嘆き 久保田万太郎
しらつゆや手かゞみのみの知るなげき 久保田万太郎
村を出る嘆きをうたふ踊かな 岩崎照子
地芝居のおぼつかなくも嘆きけり 長谷川双魚
文章の下手のなげきを鵙によせ 星野立子
栄光の長き尾を引く流れ星 ハードエッジ
栄光:
栄光の柱朝から雲の峯 鷹羽狩行
夕焼の栄光の中胸汗ばむ 斎藤空華
雪像の栄光ついにしたたれる 小林進
葬儀社に栄光の刻なくもなし 筑紫磐井
流星や名も無きままに輝きて ハードエッジ
名も無き:
姓ありて名もなき赤子あたたかし ハードエッジ
春なれや名もなき山の薄霞 松尾芭蕉
三月の名もなき空を青と呼ぶ 鈴木牛後
名ある草名もなき草も霞む野辺 中村苑子
雛壇に名もなく並ぶ寂しさよ ハードエッジ
猫の子の名も無きままに良く遊ぶ ハードエッジ
山寺に咲て名もなき桜哉 正岡子規
さみだれや名もなき川のおそろしき 与謝蕪村
竹夫人いまだ名もなく擁かれけり 鈴木鷹夫
去ん候これは名もなき菊作り 夏目漱石
曼珠沙華名もなき野川海に入る 山口誓子
照葉して名もなき草のあはれなる 富安風生
生れきて名もなく聖夜ただねむる 宮津昭彦
流星や一寸先の闇に消ゆ ハードエッジ
一寸:
あけぼのや白魚しろきこと一寸 松尾芭蕉
髪あらう一寸先の闇に向き 出口善子
時鳥一寸先の闇の聲 寺田寅彦
蛍火の一寸先の闇に坐す 和倉左京
一寸の草に影ありけふの月 正岡子規
時雨るるやまだ一寸の葱畑 ハードエッジ
一寸と云へど氷柱の数多なる ハードエッジ
幹に柄の一寸伸びて返り花 ハードエッジ
一寸の実生の松や初昔 長谷川櫂
白朮火の一寸先の都かな 松尾隆信
福寿草一寸ものゝ始なり 池西言水
一瞬を流れて永遠に消ゆる星 ハードエッジ
一瞬:
一瞬の暗さ春雷六本木 武原はん女
撃たれたる雉子の目一瞬何を見し 加藤楸邨
芹投じ一瞬鍋を静まらす 鈴木鷹夫
迅雷に一瞬木々の真青なり 長谷川かな女
一瞬にしてみな遺品雲の峰 櫂未知子
子を殴(う)ちしながき一瞬天の蝉 秋元不死男
死は一瞬遺りし父母に秋幾度 福田蓼汀
枝垂るるに一瞬の間や大花火 ハードエッジ
みな生の一瞬はたはたの翔つことも 鷹羽狩行
跳箱の突手一瞬冬が来る 友岡子郷
年逝くと年来るとこの一瞬に 山口波津女
まだ文字を知らぬペン先流れ星 ハードエッジ
ペン先:
ペン先の金やはらかき暮春かな 小川軽舟
ペン先の18金や卒業す ハードエッジ
寒晴や飛行機がペン先のやう 龍野よし絵
ペン先の球よ勤労感謝の日 ハードエッジ
頬杖のふと外れたる流れ星 ハードエッジ
頬杖:
頬杖をついて遅日の机かな 吉屋信子
酔ひざめの頬杖はづれ大石忌 鷹羽狩行
舟べりに頬杖ついて月見かな 山口青邨
流星や奇跡はある日突然に ハードエッジ
突然:
突然の雨に逢ひたしサンドレス 田中冬生
突然に灯を消されたる火取虫 山内山彦
流星と運動場に生えし草 ハードエッジ
流星に潮吹き上ぐる鯨かな ハードエッジ
吹き上:
吹き上がる雨粒見えて花篝 藺草慶子
断崖を吹き上りくる風涼し 長谷川櫂
静かさは砂吹きあぐる泉哉 正岡子規
吹き上げて廊下あらはや夏暖簾 高濱虚子
墨染の袖吹きあぐる花野哉 正岡子規
吹き上げし秋の簾の軽さかな 高濱虚子
見るうちに吹きあげられし秋の蝶 上村占魚
萩の蝶吹き上げられて去りにけり 鈴木花蓑
こがらしや巌上に寺吹き上げて 矢島渚男
凩の尻吹き上げる厠かな 会津八一
空つ風埃吹き上げ慈善鍋 高野素十
吹き上がる星や鯨の息継ぎに 正木ゆう子
満天の星に吹き上げ大枯木 山口青邨
菜箸の長き直線流れ星 ハードエッジ
菜箸:
いまさらに菜箸長し夕花菜 野澤節子
菜箸は糸で繋がり星祭 金子敦
菜箸と同じ長さの秋刀魚なり ハードエッジ
国中の菜箸に火や秋刀魚焼く ハードエッジ
冬深みかも菜箸を湯にさせば 正木ゆう子
菜箸の刺し跡しるき煮大根 金子敦
菜箸の焦げのあらはに年詰る 小松崎爽青
菜箸は厨を出でず除夜の鐘 ハードエッジ
流星の豊かなる夜のコンサート ハードエッジ
豊かな:
土師邑の泥ゆたかなり初つばめ 山田みづえ
雨蛙多き村なり豊かなり 右城暮石
落雷の直後ゆたかな金魚の尾 橋閒石
稲妻のゆたかなる夜も寝べきころ 中村汀女
菊白く死の髪豊かなるかなし 橋本多佳子
泣きしあとわが白息の豊かなる 橋本多佳子
大根のなで肩にして豊かな葉 ハードエッジ
湯の量の豊かなるゆゑ返り花 鷹羽狩行
豊かなる父の欠伸や初湯殿 山西雅子
真白に物干して豊かなるに似たり 千代田葛彦
九回の裏へと流れ星あまた ハードエッジ
老人や流星群の中に座し ハードエッジ
老人や:
病院を出る老人や春の雨 岸田稚魚
老人やみみず両断され共に跳ね 永田耕衣
老人やまた大げさに威銃 草間時彦
命終に一つは欲しき流れ星 ハードエッジ
命終:
命終のぽたりと落る蚊遣の蚊 ハードエッジ
命終の日もかくあれや螢舞ふ 小林康治
冬泉命終に声ありとせば 綾部仁喜
この雪嶺わが命終に顕ちて来よ 橋本多佳子
命終や埋火のこの純白は ハードエッジ
流星の降り止まぬ日がいつか来て ハードエッジ
降り止:
降り止みて一トしほ梅雨のけしきかな 小杉余子
松手入まぶしきものの降りやまず 片山由美子
落葉降り止まず魚を焼く煙 ハードエッジ
木の葉ふりやまずいそぐないそぐなよ 加藤楸邨
木の葉ふりやみたる雨となりにけり 久保田万太郎
◎初案20句
◎推敲過程/テキスト/pdf
全2枚/99句
全然堂歳時記 秋 【流れ星2】 テキスト推敲
◎推敲過程/A4プリント 原稿/pdf
全5枚
全然堂歳時記 秋 【流れ星】A4推敲原稿
◎推敲過程/A4プリント 加筆/pdf
全5枚
全然堂歳時記 秋 【流れ星2】A4推敲 加筆
◎推敲過程/葉書プリント 原稿/pdf
葉書俳句プリント原稿 全5枚
全然堂歳時記 秋 【流れ星】葉書推敲原稿
◎推敲過程/葉書プリント 加筆/pdf
葉書俳句プリント加筆 全5枚
全然堂歳時記 秋 【流れ星2】葉書推敲 加筆
◎葉書俳句表側
◎データベース画面/桐v10
◎流れ星秀句
流星や夜を覚えて泣く赤子 折勝家鴨
星流る弥勒菩薩を待つ時間 利普苑るな
星一つ命燃えつつ流れけり 高濱虚子
参考に一つの星が流れけり 阿部青鞋
死がちかし星をくぐりて星流る 山口誓子
星飛んで巨きな墓に王ひとり 津川絵理子
流星に二度と戻れぬ空のあり 櫂未知子
叱られし星か流れて海の上 鷹羽狩行
流星の滴る島に泊つるなり 正木ゆう子
星流る無数の知らぬ人の上 利普苑るな
流星や生れし覚えなき嬰児 三橋敏雄
流星に思はずも襟かき合せ 星野立子
流星の針のこぼるるごとくにも 山口青邨
流星の使ひきれざる空の丈 鷹羽狩行
天網をいくたびもぬけ流れ星 佐藤礼以子
流星や塔のかたちの貯金箱 金子敦
星流るすうっと走る裁ちばさみ 北畠千嗣
流星や旅の一夜を海の上 下村ひろし
◎未練句/補遺/在庫処理
輝いて過去へ消えゆく流れ星 ハードエッジ
流星や過去と未来のその隙間 ハードエッジ
歪みたる時空の軋み流れ星 ハードエッジ
黒板の文字の短命流れ星 ハードエッジ
流星や二段ベッドの上が好き ハードエッジ
電流の憧れてゐる流れ星 ハードエッジ
秋晴の夜を喜び流れ星 ハードエッジ
弱虫の星の涙か流れ星 ハードエッジ
邪悪なる流星の夜や誰か来て! ハードエッジ
流星と蛇口に迸る水と ハードエッジ
流星の夜ごとに刺さる地球かな ハードエッジ
流星を弾き飛ばせし石畳 ハードエッジ
流星に選ばれし子の蒙古斑 ハードエッジ
細長きビルの屋上流れ星 ハードエッジ
以上です