開発素句報 2023-06 「花柱名残」
◎葉書俳句
◎テキスト
張り詰めし朝の空気に菊を切る ハードエッジ
菊を切る:
菊を剪つて行く秋惜む主かな 正岡子規
菊を切る鋏の音の晴るるかな 野村喜舟
頬被野菊を切つてゆきにけり 岸本尚毅
枯菊を切るや薄日に薄埃 ハードエッジ
枯菊を剪るうす埃あがりけり 富安風生
縁に座し菊の手入に余念なし ハードエッジ
余念:
余念なく紫雲英を摘むとひとは見む 大島民郎
菜の花や余念もなしに蝶の舞 正岡子規
冬物の出し入れに妻余念なし 高澤良一
荒ぶるや門の仁王と菊の武者 ハードエッジ
武者:
武者さんの画にはなりさう種の薯 阿波野青畝
くれなゐを苦悶の色に武者侫武多 鈴木鷹夫
野馬追の緋縅の武者若からず 大堀柊花
松明に落武者探す夜寒かな 正岡子規
姫よりも武者かんばしき菊人形 鷹羽狩行
枯れいろのなき淋しさや菊の武者 大木あまり
菊の武者二体重ねて運ばるる 広渡敬雄
若武者のごとき二頭や鹿の秋 片山由美子
若武者の如き葉、大根の抜菜 ハードエッジ
武者一騎夕山こゆる紅葉哉 正岡子規
落武者の如くに憩ひ枯野行 成瀬正俊
武者君よそれにあるのは蕪か無か 攝津幸彦
羽子板の武者の哀しきまで若し 後藤比奈夫
桃の実の花柱名残といふあたり ハードエッジ
桃の実:
暑き夜の桃の実桃の香におびえ 飯田龍太
桃の実に目鼻かきたる如きかな 正岡子規
桃の実にやすらふ蟻を見つけたり 中田剛
桃の実や禁忌犯すは男神のみ 谷口智行
桃の実を思へばいまはのごと匂ふ 齋藤玄
桃の実のほのぼのと子を生まざりし きくちつねこ
薄皮を剥いて桃の実桃の皮 ハードエッジ
桃の実をひたと包んで桃の皮 ハードエッジ
桃色は桃の実のいろ甘さうな ハードエッジ
赤い椿も白い椿も茶色の実 ハードエッジ
本歌取り:
赤い椿白い椿と落ちにけり 河東碧梧桐
穴のあるナットと穴のなき木の実 ハードエッジ
ダジャレ
別案:
穴のあるナットと糸を引く納豆 ハードエッジ
掛布団秋の重さとなりにけり ハードエッジ
改案:
掛布団秋の重みとなりにけり ハードエッジ 2023.10.7
にぎりこぷしさんの note の記事がヒントになりました。感謝
「いよいよ掛布団登場。いま俺を包んでいるのは布団ではなく幸福」
泣かせますね →記事はこちらです
◎推敲過程/テキスト/pdf
全34句
開発素句報 2023-06 テキスト推敲
◎推敲過程/葉書俳句 原稿/pdf
葉書俳句プリント原稿 全5枚
開発素句報 2023-06 葉書原稿
◎推敲過程/葉書俳句 加筆/pdf
葉書俳句プリント加筆 全4枚
開発素句報 2023-06 葉書推敲
◎葉書俳句表側
以上です