新年 【左義長】 青竹の誉れ左義長仕る

全然堂歳時記 新年の部
【左義長】さぎちょう

全然堂歳時記=現在、本号を含め70記事=春夏秋冬–年末年始=21-9-17-16–3-4
/2023.1.15

子季語:どんど焼、とんど、どんと、飾焚かざりたき吉書揚きっしょあげ

◎葉書俳句

◎テキスト

青竹のほまれ左義長つかまつる ハードエッジ

先行句:
青竹を天に左義長つかまつる 西野文代

一語差し替えただけ、ではありますが、
この「誉れ」に賭けてみました

仕る:
じょまい火蛾ひが仕る薪能たきぎのう 高橋たか子
仕る手にふえもなし古雛ふるひいな 松本たかし
一ふしはいづれの虫もつかまつる 向井去来    きょらい
柿秋の喜捨きしゃ筆頭ひっとうをつかまつる 赤松蕙子あかまつ けいこ
もがりぶえとう暮色ぼしょくに仕る 藤田湘子ふじた しょうし
火焚ひたきというて火遊ひあそび仕る 松本つよし
あしの葉もふえ仕る神の旅 高濱虚子たかはま きょし
舞初まいぞめや昔おぼえを仕る 白井一江

左義長の青竹その他雪に組む ハードエッジ

その他:
すみとぼしそのほかとぼ寒明かんあくる 及川貞おいかわ てい
いそぎんちやくその他生きとし生けるもの 京極杞陽きょうごく きよう
蠅帳はえちょう古漬ふるづけその他母の昼 草間時彦くさま ときひこ
花蜜柑はなみかんその他だいだい金柑きんかんも ハードエッジ
茄子なす牛蒡ごぼうその他一畝ひとうねづつ背戸せどに 西本一都
ひとつ買ひその他の虫は聞きてに ハードエッジ
はぎその他糸のごとくに枯れにけり 高濱虚子たかはま きょし
しぐれ来と松の中なる松その他 岸田稚魚きしだ ちぎょ
埋火うずみびに夕刊その他つねのごと 篠田悌二郎しのだ ていじろう
聖夜劇せいやげきその他大勢みな天使 栗山節子
初鴉はつがらすその他すずめも飛行機も ハードエッジ

高々とまだ火のかぬどんどかな ハードエッジ

高々:
春雷しゅんらいの高々と去りぬ花の上 高濱年尾たかはま としお
高々と引きゆくつるの声もなし 清崎敏郎きよさき としお
高々と帰帆きはんのごとく捕虫網ほちゅうもう 佐藤郁良さとう いくら
ひまはりのたかだか咲けるにくきかな 久保田万太郎
角よりも尻たかだかと鹿しか去りぬ 広渡敬雄ひろわたり たかお
たかだかとあはれは三のとりの月 久保田万太郎
凍鶴いてづるほと高々と歩みけり 早野和子
餅花もちばなの高々とある炬燵こたつかな 高濱虚子たかはま きょし
山寺や高々つみてお年玉 飯田蛇笏いいだ だこつ
はぐれゐしつまかも破魔矢はまや高々と 築城京ついき きょう

人の手を離れてよりのどんどかな ハードエッジ

人の手:
人の手にはやりそめぬ初暦はつごよみ 正岡子規  しき

身をもって青竹燃ゆるどんどかな ハードエッジ

身を以て:
身を以て火中かちゅういど大蛾たいがかな ハードエッジ

とおるどんどの中に見ゆるもの ハードエッジ

透き通:
鳴きながら透きとほりけり揚雲雀あげひばり 馬場龍吉ばば りゅうきち
香水の正札しょうふだびんを透きとほり 星野立子
のこが氷を透きとほる 谷野予志たにの よし
心太ところてんのど通るため透きとほる 後藤立夫
空蝉うつせみに雨水たまり透きとほる 篠原梵しのはら ぼん
新涼しんりょう咽喉のど透き通り水下る 西東三鬼さいとう さんき
つゆの玉かへらぬ月日透きとほる 柴田白葉女しばた はくようじょ
透き通る氷の中の紅葉もみじかな 正岡子規  しき
焼跡やけあとに透きとほりけりかんの水 石田波郷   はきょう
ともるごとくに風呂吹ふろふきの透きとほる 夏井いつき
時間とは水にも火にも透き通る 和田悟朗   ごろう

火もまたすずしとどんどの中の達磨だるまさん ハードエッジ

達磨/季語以外:
春の日のられて重くなる達磨 斉田仁さいだ じん
行春ゆくはるに達磨のいびき聞かばやな 正岡子規  しき
秋立つや達磨の尻のくさりより 正岡子規  しき
火達磨は有終ゆうしゅう秋刀魚さんま焼く ハードエッジ
霜柱しもばしらんで達磨ををさめけり 高田正子
とんどの火達磨の尻をまづめぬ 清水基吉しみず もとよし

どんど火に一升瓶いっしょうびんらさるる ハードエッジ

火柱ひばしらの赤きささくれどんど焼 ハードエッジ

ささくれ:
虫出しやささくれだちし水の面 岸田稚魚きしだ ちぎょ
夕立にささくれ立ちし地べたかな ハードエッジ
たきまたぎささくれてたつにじならむ 中田剛なかた ごう
老いてはしのささくれ秋の風 正木まさきゆう子
川ののささくれ立つはさけのぼる 西村和子
裏側のささくれ立ちし氷かな ハードエッジ
雪折ゆきおれのささくれに雪新しき ハードエッジ
雪折のささくれ立つて肌色はだいろに ハードエッジ

左義長の火のぱちぱち新しき ハードエッジ

ぱちぱち:
ぱちぱちと火花は空へ花篝はなかがり ハードエッジ
活鯊に天麩羅てんぷら油ぱちぱちと 長谷川櫂はせがわ かい
ぱちぱちと胡麻ごまつてゐるかんいり 村越化石むらこし かせき

夜空へと吸ひ上げられしどんどの火 ハードエッジ

吸ひ上:
地下水を吸ひ上げてゐる西瓜すいかかな ハードエッジ
雪の夜の根の吸ひ上げる水のりょう ハードエッジ

火の中ががさりどさりとどんど焼 ハードエッジ

がさり:
花篝はなかがりがさりと夜はふけにけり ハードエッジ
火を止めた後にがさりと浅蜊汁あさりじる ハードエッジ

消防車真つ赤にゆるどんどかな ハードエッジ

映ゆる:
遠き世の山火ぞ映ゆる埴輪はにわの眼 福田蓼汀ふくだ りょうてい
夕空にたかだか映ゆるさくらかな 久保田万太郎
柿のへたの黒きに映ゆる柿若葉 ハードエッジ
初髪はつがみに映ゆる夕日をいとほしむ 五所平之助ごしょ へいのすけ

左義長の松竹梅しょうちくばいけむりかな ハードエッジ

松竹梅:
鶴亀つるかめも松竹梅も千歳飴ちとせあめ ハードエッジ

どんど火のくずれむばかりくずれたり ハードエッジ

参考句:
子燕こつばめのこぼれむばかりこぼれざる 小澤實おざわ みのる

一の二の三のどんども燃え落る ハードエッジ

一の二の:
一の二の三の四の五の花吹雪はなふぶき ハードエッジ

波音にどんどの灰の降ることよ ハードエッジ

波音:
波音の中の薄紅うすべに桜貝さくらがい ハードエッジ
波音の東海道とうかいどう初燕はつつばめ ハードエッジ
波音の太平洋や松の花 小圷健水こあくつ けんすい
波音は波の残骸ざんがい松のしん ハードエッジ
波音も波も近くに海の家 ハードエッジ
雨音の中の波音ところてん 岩淵喜代子いわぶち きよこ
ふるさとの波音高き祭かな 鈴木真砂女  まさじょ
波音の由比ゆいヶ浜より初電車 高濱虚子たかはま きょし

火の鳥の大いなるかな吉書揚きっしょあげ ハードエッジ

月並!
PCやプリントで何回も見直したはずなのに、
最終稿をネットにアップして、
改めてそれを読んで、
初めて駄作と気が付く、、、そんな不憫な一句

まあ、そういう事もあるよね
昔の私なら、
印刷済みの葉書俳句、どうしよう
と、途方に暮れたかもしれないが、
今では平然と、
事後のダメ句宣言で済ませてしまうのです

駄句も我がもの

正月も春も飛び立つ吉書揚 ハードエッジ

飛び立:
迷惑めいわく鶯餅うぐいすもちの飛び立つは ハードエッジ
初燕はつつばめ飛び立つまでのえにしかな 桂信子
花びらとなつて飛び立つ桜かな ハードエッジ
飛び立つは死出しで旅路たびじせみの穴 ハードエッジ
飛び立ちし虫の背後はいご蜻蛉とんぼ来る ハードエッジ
笑ひ声にも飛び立てり草のわた 右城暮石うしろ ぼせき
しべ張つて飛び立つかまへ曼珠沙華まんじゅしゃげ 鷹羽狩行たかは しゅぎょう

もちを焼き蜜柑みかんいて吉書揚 ハードエッジ

蜜柑を剥:
蕎麦そばすす蜜柑みかんいて除夜じょやかね ハードエッジ

◎推敲過程/テキスト/pdf

全2枚/111句

全然堂歳時記 新年 【左義長】テキスト推敲

 

◎推敲過程/A4印刷+手書き/pdf

◎推敲過程/葉書印刷+手書き/pdf

葉書全4枚/A4-1枚

全然堂歳時記 新年 【左義長】葉書推敲

◎葉書俳句表側

◎データベース画面/桐v10

切口順/自家製

◎左義長秀句

どんどの火消え道の神また眠る 宮津昭彦みやつ あきひこ
左義長の火の入る前の星空よ 高田風人子たかだ ふうじんし
火柱の中はからつぽどんと焼 早野和子
どんど待つ別の小さき火をいて 木戸節
燃ゆるもの火のみとなりしどんどかな 加藤静夫
流れ行どんどの灰や水ぬるむ 正岡子規  しき
おとろへのむらさきぼかしどんどの火 岡本眸    ひとみ
どんど焼どんどゝ雪の降りにけり 小林一茶   いっさ
雪の上をころげどんどの火屑ひくずかな 岸田稚魚きしだ ちぎょ
火の中に鈴の見えたるとんどかな 岸本尚毅   なおき
どんどんやぬかるみを来しくつばかり ふけとしこ
左義長の火をきし竹雪にさす 西村公鳳    こうほう
左義長のあれよあれよとあがりけり 大石悦子

◎未練句/補遺

左義長の火のどんどん新しき ハードエッジ
左義長に雪めし目出度めでたさよ ハードエッジ
大波のどすんどすんとどんど焼 ハードエッジ
引く波に乗つてどんどのくずや灰 ハードエッジ
子供は風の子どんどから火の粉 ハードエッジ
左義長にのどかわきや福蜜柑ふくみかん ハードエッジ
燃え落る高さまで燃えどんどの火 ハードエッジ
青竹のぜて左義長どよめけり ハードエッジ

以上です