冬 【蜜柑】 色と香の蜜柑の君を待つ炬燵

全然堂歳時記 冬の部
【蜜柑】みかん

全然堂歳時記=現在、本号を含め63記事=春夏秋冬–年末年始=21-9-17-13–2-1
/2022.12.11

子季語:密柑山、蜜柑狩、蜜柑摘、蜜柑箱

◎葉書俳句

◎テキスト

旅行けば駿河するがの国に蜜柑の ハードエッジ

断ち入れ:
清水の次郎長外伝 初代広沢虎造 「勝五郎の義心伝」

蜜柑山あれに見えるは電車ぢやないか ハードエッジ

断ち入れ:
文部省唱歌『茶摘み』

ぢやない:
ポニーテールじゃないんですねちょうとまる 野口麻礼
恋猫か恋猫じゃないかもしれぬ 木田智美
冗談じょうだんぢやないわハンカチまちがへて 岡田史乃おかだ しの
玉ねぎもうまいぢやないか牛丼屋 岡崎陽市
ぼくじやないきつねも回る盆踊ぼんおどり 五島高資ごとう たかとし
よかつたぢやないか秋刀魚さんまとして焼かれ ハードエッジ
ゲレンデのあれに見ゆるは雪女ぢやないか ハードエッジ
海鼠なまこつて言ふほど海鼠なまこぢやないのかも しまねこくん
愛人でいいのとうたう歌手がいて言ってくれるじゃないのと思う 俵万智たわら まち

冬の山なれどニコニコ蜜柑山 ハードエッジ

にこにこ:
にこにこと「焼き甲斐がいのある山」といふ 櫂未知子かい みちこ
りてにこにことうば山桜 森澄雄  すみお
金魚田を歩くにこにこして来たり 鈴木鷹夫   たかお
彦星ひこぼしのにこにこ見ゆる木間このまかな 小林一茶   いっさ
花火見てそうにこにこともとの座に 河野静雲こうの せいうん
妻にこにこ夫むつつり稲架はざおさめ 高野素十    すじゅう
日輪にちりんや稲刈る上ににこにこと 鈴木花蓑    はなみの
にこにこと分らずじまひ生身霊いきみたま 清水基吉しみず もとよし
石榴ざくろみなはじけておうなにこにこと 波多野爽波はたの そうは
たけかごをみんながげてにこにこと 高濱年尾たかはま としお
ひょんの実と教へてあとはにこにこと 高橋悦男   えつお
地球一万余回転冬日にこにこ 高濱虚子たかはま きょし
日向ぼこしてにこにこと待たれゐし 星野立子
太陽に向いてにこにこ雪達磨ゆきだるま ハードエッジ
にこにこせりクリスマスケーキ買う男 加藤楸邨    しゅうそん

金山きんざんまさ黄金こがねの蜜柑山 ハードエッジ

細道の坂道ばかり蜜柑山 ハードエッジ

「細道」で業界人狙い撃ち (^_^;;;

おむすびもみかんもころりころりんと ハードエッジ

断ち入れ:
おむすびころりん/Wikipedia

蜜柑山沖の漁船も日を浴びて ハードエッジ

選果機せんかきに蜜柑ころころころころす ハードエッジ

コンビニへ一寸ちょっとみかんのをまとひ ハードエッジ

湯の宿に足を伸ばして蜜柑むく ハードエッジ

色と香の蜜柑の君を待つ炬燵こたつ ハードエッジ

幼子おさなご正座せいざごとし蜜柑置く ハードエッジ

籠城ろうじょう炬燵こたつに蜜柑積み上げて ハードエッジ

やすらかや蜜柑にあわき花のあと ハードエッジ

別案:
昼月や蜜柑に淡き花の跡 ハードエッジ

裏打うらうちのもやもやもまた蜜柑なり ハードエッジ

先行句:
白きひらひら蜜柑の皮と実の間 山田露結   ろけつ

団欒だんらんに刃物は無用むようみかんむく ハードエッジ

幼子おさなごが母にきやる蜜柑かな ハードエッジ

しりとりのくやしさにく蜜柑かな ハードエッジ

しりとり:
尻取しりとりや蜜柑食ひつつ油断ゆだんせず ハードエッジ
しりとりにきらはれてゐるみかんなり ハードエッジ

団欒だんらんの後の蜜柑の皮とと ハードエッジ

蜜柑箱あけたるふたの裏にかび ハードエッジ

◎推敲過程/テキスト/pdf

全3枚/222句

全然堂歳時記 冬 【蜜柑】テキスト推敲

◎推敲過程/A4印刷+手書き/pdf

◎推敲過程/葉書印刷+手書き/pdf

全3枚/葉書10枚

全然堂歳時記 冬 【蜜柑】葉書推敲

◎葉書俳句表側

◎データベース画面/桐v10

 

◎蜜柑秀句

みかん黄にふと人生はあたゝかし 高田風人子たかだ ふうじんし
おやすみを言ひに来し子の蜜柑の香 今井千鶴子   ちづこ
えんなものとぞみかんきあへる 久保田万太郎 く ぼ た  まんたろう
のこりものに福あるみかん一つかな 久保田万太郎 く ぼ た  まんたろう
死後も日向ひなたたのしむ墓か蜜柑山 篠田悌二郎しのだ ていじろう
荒海あらうみ供養くようの蜜柑投げ続く 相生垣瓜人あいおいがき かじん
童女どうじょぎんの墓とある雪上に一蜜柑 伊丹三樹彦いたみ みきひこ
どの山の影ともならず蜜柑山 辻田克巳つじた かつみ
内海うちうみのまた内海の蜜柑山 百合山羽公ゆりやま うこう
蜜柑むき大人おとなの話聞いてゐる 西村和子
の国の蜜柑となりしてん手鞠てまり 能村登四郎のむら としろう
たまさかの電車が時計蜜柑山 世古諏訪せこ すわ
蜜柑く蜜柑を口に含みつつ 西生さいしょうゆかり
もちぬくき蜜柑つめたき祭りかな 正岡子規  しき
歌舞伎座かぶきざに山と積まれし蜜柑かな 岸本尚毅   なおき
蜜柑山の中に村あり海もあり 藤後左右とうご さゆう
帰郷ききょうして蜜柑山でもやりたまへ 藤後左右とうご さゆう

◎未練句

東海とうかいのみかんとみちのくのりんご ハードエッジ
蜜柑狩みかんがりみかん日和を口々に ハードエッジ
海を抜け丸くふくらむ蜜柑山 ハードエッジ
鈴生すずなりの蜜柑重たし蜜柑山 ハードエッジ
蜜柑となりの山のやや高き ハードエッジ
蜜柑む隣の山も五六人 ハードエッジ
東海とうかいを都へ急ぐ蜜柑船 ハードエッジ
蜜柑箱みかんの形に遠くとも ハードエッジ
く時の林檎りんご包丁ほうちょう蜜柑指 ハードエッジ
蜜柑る頃やすなわ炬燵こたつづ ハードエッジ
つくづくと蜜柑の皮の裏表 ハードエッジ
犯人は蜜柑の匂ふ幼き手 ハードエッジ
みかんはひらがなオレンジハカタカナ ハードエッジ

以上です