天井に届く悲しみ涅槃絵図 ハードエッジ
こときれてなほ邯鄲のうすみどり 富安風生
うすうすとしかもさだかに天の川 清崎敏郎
俳人、葉書俳句「開発素句報」「全然堂歳時記」発行人。
天井に届く悲しみ涅槃絵図 ハードエッジ
こときれてなほ邯鄲のうすみどり 富安風生
うすうすとしかもさだかに天の川 清崎敏郎
山寺のあたりが赤し除夜の鐘 ハードエッジ
なまじよき日當りえたる寒さかな 久保田万太郎
入学や色濃き土のやはらかく 今泉礼奈
でで虫のごくりともどる殻の中 大石雄鬼
潜水艦夏空を見てまた沈む ハードエッジ
遠ざかる一つの時代天の川 ハードエッジ
神主のはたはたしたる雛流し ハードエッジ
月天心貧しき町を通りけり 与謝蕪村
天井の鼠いつしか神隠し 穴井太
泳ぎ子を警め通る草刈女 清崎敏郎
銀杏散る善は急げと言ふ如く ハードエッジ
木の葉ふりやまずいそぐないそぐなよ 加藤楸邨
初蝶を苛む風となりにけり 西宮舞
山百合を捧げて泳ぎ来る子あり 富安風生
悴める掌を包みやり諭しけり 西村和子
貝割菜のきれいに曇る袋選る 中村和弘
ごみぶくろ枯葉の息にくもりけり 清水良郎
葱長きビニール袋くもりけり 長谷川櫂
ランドセルに吊るす四月の定期券 清水良郎
麦秋のソースじやぶりとアジフライ 辻桃子
冬の水一枝の影も欺かず 中村草田男
春泥を来て大いなる靴となり 上野泰
大いなる身をはばからず寝釈迦かな 長谷川櫂
蜂の巣の甕の如くに大いなる 瀧澤伊代次
猫の子のひとり遊びを見てひとり 細川加賀
丸善に檸檬わが家に桜餅 ハードエッジ
手袋をとりたての手の暖かく 星野立子