花冷の包丁獣脂もて曇る 木下夕爾
お涅槃や黒板拭に文字の屑 ハードエッジ
販売機ごとりと落葉はじまりぬ 岡本眸
俳人、葉書俳句「開発素句報」「全然堂歳時記」発行人。
花冷の包丁獣脂もて曇る 木下夕爾
お涅槃や黒板拭に文字の屑 ハードエッジ
販売機ごとりと落葉はじまりぬ 岡本眸
水替へてひと日蜆を飼ふごとし 大石悦子
ぱかと開く缶ペンケース夏の蝶 ハードエッジ
いやいやをしながら水洟を拭かれ ハードエッジ
春雪や二段重ねの室外機 ハードエッジ
柿若葉豆腐ふれあふ水の中 長谷川櫂
蜩は寂しと幼な心にも 上野泰
歯に当ててぱりりと音や桜餅 ハードエッジ
月涼し地球の影を映しては 内田美紗
雪に咲く白き椿の金の蕊 ハードエッジ
白木蓮に純白といふ翳りあり 能村登四郎
万緑や寂しきものに永久歯 ハードエッジ
鮟鱇の口ほどもなき目なりけり ハードエッジ
満開の花より白し塩むすび ハードエッジ
雨だれの向うは雨や蟻地獄 岸本尚毅
孤独死のきちんと畳んである毛布 北大路翼
みえてゐて遠き海かもつくし摘む 木下夕爾
みつまめをギリシャの神は知らざりき 橋本夢道
長き夜のところどころを眠りけり 今井杏太郎
接木してつながる肉の疎ましき 長谷川櫂
西もひがしもわからぬ猫の子なりけり 久保田万太郎
露の幹静かに蝉の歩き居り 高濱虚子