ピストルの手入れ運動会前夜
蟷螂の怒りに燃ゆる緑色
紫も緑も黒も葡萄なり
俳人、葉書俳句「開発素句報」「全然堂歳時記」発行人。
ピストルの手入れ運動会前夜
蟷螂の怒りに燃ゆる緑色
紫も緑も黒も葡萄なり
腹巻の腹話術師もありぬべし
乾鮭に腸のなき叫びかな
青空を胸一杯に囀るよ
涅槃絵図涙ながらに褪せゆくも
吾輩は西日に立てる赤い箱
呪文の如くチヨコレイトや露地の秋
天井に届く悲しみ涅槃絵図
さくらんぼ美しき血を絶やさずに
よく遊びよく学ぶべき秋のチョコ
薫風に赤子の髪の逆立てる
爺婆の白髪めでたし七五三
黒髪の長からねども歌留多会
番付で言へば大関豆御飯
傘さして雨の茅の輪を潜りけり
虹も出てとても綺麗な雨あがり
長き夜を線香の火の沈みゆく
長き夜の胡麻を圧して胡麻油
而して頁を捲る夜長かな
申し訳なささうな黄を青蜜柑
菊の香のつんと神代の昔かな
一年で果つる虫草秋の風
リボンして伴奏の子や卒業歌
去るものは追はず卒業式終る
忘れ得ぬことぞ悲しき卒業歌
暖かや前歯の欠けし女の子
海の見えるデパートで買ふ桜餅
俯せに本の眠れる蝶の昼