粉ぐすりのうぐひすいろの二月かな 久保田万太郎
ナイフなほ聖菓の中に動きをり 山口波津女
春待つは妻の帰宅を待つごとし 鈴木鷹夫
俳人、葉書俳句「開発素句報」「全然堂歳時記」発行人。
粉ぐすりのうぐひすいろの二月かな 久保田万太郎
ナイフなほ聖菓の中に動きをり 山口波津女
春待つは妻の帰宅を待つごとし 鈴木鷹夫
鳥交る綿のこぼるる縫ひぐるみ 利普苑るな
あたたかき茶を秋雨の庭に捨つ 松本たかし
山茶花や紅を湯浴のごと散らし ハードエッジ
花の芯すでに苺のかたちなす 飴山實
籐椅子を抜ける西日となりにけり 長谷川櫂
自転車に詰める空気も年用意 ハードエッジ
四万六千日の暑さとはなりにけり 久保田万太郎
日当りて向ふへ長し鳴子縄 高野素十
雪催ふ琴になる木となれぬ木と 神尾久美子
一面に合唱団のごと芽吹く ハードエッジ
つきささるやうな照明パンジーに 岸本尚毅
アイスコーヒー上より薄くなりゆける 上田信治
徂く春に何も持たせてやれぬこと 中原道夫
芭蕉野分して盥に雨を聞く夜かな 松尾芭蕉
数へ日の三時は日向四時の影 永井龍男
スリッパを越えかねてゐる仔猫かな 高濱虚子
夏休みも半ばの雨となりにけり 安住敦
各地より我名あつまる年賀状 ハードエッジ
赤子泣く春あかつきを呼ぶごとく 森澄雄
ところてん煙のごとく沈みをり 日野草城
流星や生れたるものは水にぬれ ハードエッジ
一寸ゐてもう夕方や雛の家 岸本尚毅
母の日の知らぬは母の誕生日 ハードエッジ
夏草に延びてからまる牛の舌 高濱虚子
暑き故ものをきちんと並べをる 細見綾子
一斉に見えぬもの指す踊かな 夏井いつき
曼珠沙華食ひちぎられしごとくなり 長谷川櫂