タグ: 波多野爽波

悲鳴にも似たり夜食の食べこぼし　波多野爽波

姿見の火事を映して火事の中　山田露結

希望が丘緑ヶ丘より賀状くる　宇多喜代子

蛇食ふと聞けば恐ろし雉子の声　松尾芭蕉

金銀の卑しき蠅の集りをる　ハードエッジ

子の尿の燦燦として山眠る　押野裕

拾はれてよりの仕合せ桜貝　後藤比奈夫

あはれ子の夜寒の床の引けば寄る　中村汀女

元日は大吹雪とや潔し　高野素十

七十の母がかしづく雛かな　山田みづえ

あかつきや歩く音して籠の虫　岸本尚毅

風邪の面たはしの如くなりにけり　迷水

如月や貝の中なる貝の肉　ハードエッジ

かせぎ居り春の歌舞伎座たのしみに　伊藤たか子

線路まで伸びて夜なべの灯なりけり　菖蒲あや

夕空のなほかすかにもさへづれる　岸本尚毅

行く秋の草にかくるる流れかな　加舎白雄

どんぐりを拾へば根あり冬日向　藺草慶子

春めくを冬田のために惜しむなり　相生垣瓜人

照れば金日かげれば銀芒かな　下村梅子

遠山に日の当りたる枯野かな　高濱虚子