花冷の包丁獣脂もて曇る 木下夕爾
お涅槃や黒板拭に文字の屑 ハードエッジ
販売機ごとりと落葉はじまりぬ 岡本眸
俳人、葉書俳句「開発素句報」「全然堂歳時記」発行人。
花冷の包丁獣脂もて曇る 木下夕爾
お涅槃や黒板拭に文字の屑 ハードエッジ
販売機ごとりと落葉はじまりぬ 岡本眸
春雨やみなまたたける水たまり 木下夕爾
大根を抜いて鍛へし腕とも ハードエッジ
戦場に近眼鏡はいくつ飛んだ 池田澄子
もやもやと老人のゐる夏祓 小原啄葉
にせものときまりし壺の夜長かな 木下夕爾
埋火やつひには煮ゆる鍋の物 与謝蕪村
美しき五月の汗を拭はずに 鷹羽狩行
念力のゆるめば死ぬる大暑かな 村上鬼城
秋刀魚焼かるおのれより垂るあぶらもて 木下夕爾
夕空のなほかすかにもさへづれる 岸本尚毅
行く秋の草にかくるる流れかな 加舎白雄
どんぐりを拾へば根あり冬日向 藺草慶子
みえてゐて遠き海かもつくし摘む 木下夕爾
みつまめをギリシャの神は知らざりき 橋本夢道
長き夜のところどころを眠りけり 今井杏太郎
蜆汁はや子も揃ふことまれに 中村汀女
松風の中を青田のそよぎかな 内藤丈草
山茶花は零れ冬菜は峙ちて ハードエッジ
永き日の睡魔にまさる朋ありや 糸大八
神々の力任せの雲の峰 ハードエッジ
冬菊のまとふはおのがひかりのみ 水原秋櫻子