蟻の列みる子に日傘さしかけて
飛び込めばプールの底の炎ゆるごと
曝す書の古き埃を払ふなり
俳人、葉書俳句「開発素句報」「全然堂歳時記」発行人。
蟻の列みる子に日傘さしかけて
飛び込めばプールの底の炎ゆるごと
曝す書の古き埃を払ふなり
滝壺に晒して瀑布純白に
夕立の流れ激しき外野席
生ぬるき水道水や原爆忌
鉄道の涼しく曲る青嶺かな
板塀も板戸も失せて蝉の殻
朝すでに汗の滴り原爆忌
学僧の夏痩たるも頼もしき
どこへ行くにも立ち漕ぎの夏休
空蝉や木の香失せたる木のベンチ
龍のこと語るは蛇の古老なり
気化熱を奪へと団扇猛らせて
夕日より高き乾杯ビヤホール
打ち返すテニスボールに春の壁
花も葉も蕾も茎も花菜和へ
恋猫のミアーオと鳴くイタリア語
針供養お針子さんにパリの夢
朝寝して聞くや大根を刻む音
ことことと小豆を茹でて春甘し
はるかなる北をも照らす冬日かな
使ひ捨てマスク業火に投ずべし
冬苺赤しケーキの断面に
神々は陸海空に初日の出
あけまして光るは金の福寿草
長男の負けてゆゆしや絵双六