みえてゐて遠き海かもつくし摘む 木下夕爾
みつまめをギリシャの神は知らざりき 橋本夢道
長き夜のところどころを眠りけり 今井杏太郎
俳人、葉書俳句「開発素句報」「全然堂歳時記」発行人。
みえてゐて遠き海かもつくし摘む 木下夕爾
みつまめをギリシャの神は知らざりき 橋本夢道
長き夜のところどころを眠りけり 今井杏太郎
花びらの吹かるるままに吹かれゆく ハードエッジ
けふの月長いすすきを活けにけり 阿波野青畝
湯の町の小学校や冬休 高田風人子
今日こそは晴れて桜の出番なれ
僧の名を沢庵と云ふ花の宴
花冷の銀の落花となりにけり
全山は今沸騰の桜かな
花びらは花を離れて空の旅
花びらは桜の花の涙かも
春暁の海滴るや桜海老
古き良きものの一つに春の風
蒲公英や波打際の波殺し
君知るや春あけぼのの豆腐店
生産地シールはピンク春キャベツ
食はるるを鶯餅はまだ知らず
暁闇の遅々たる刻を囀れり
囀りて羽搏きて尚もどかしや
囀や墨痕はまだぬらぬらと
一寸ゐてもう夕方や雛の家 岸本尚毅
母の日の知らぬは母の誕生日 ハードエッジ
夏草に延びてからまる牛の舌 高濱虚子
暑き故ものをきちんと並べをる 細見綾子
一斉に見えぬもの指す踊かな 夏井いつき
曼珠沙華食ひちぎられしごとくなり 長谷川櫂