あたたかや一番星に女神の名 山口速
夏草や兵どもが夢のあと 松尾芭蕉
尾頭の心もとなき海鼠かな 向井去来
俳人、葉書俳句「開発素句報」「全然堂歳時記」発行人。
あたたかや一番星に女神の名 山口速
夏草や兵どもが夢のあと 松尾芭蕉
尾頭の心もとなき海鼠かな 向井去来
かんばせは春眠とこそ見まつれど 高橋淡路女
泳ぎより歩行に移るその境 山口誓子
獅子舞の口かちかちと喜べる 中本真人
夕雲のふちのきんいろ雛納め 鍵和田[ゆう]子
団栗の葎に落ちてくゞる音 鈴木花蓑
初映画ほろほろ泣けて恥かしや 富安風生
水底の目高の影の方が濃し 西村和子
水底に映れるごとし遠花火 長谷川櫂
水の底突けば固しや水澄める 岸本尚毅
神主のはたはたしたる雛流し ハードエッジ
月天心貧しき町を通りけり 与謝蕪村
天井の鼠いつしか神隠し 穴井太
美しき五月の汗を拭はずに 鷹羽狩行
念力のゆるめば死ぬる大暑かな 村上鬼城
秋刀魚焼かるおのれより垂るあぶらもて 木下夕爾
遠浅の水清ければ桜貝 上田五千石
柔かく女豹がふみて岩灼くる 富安風生
泥に降る雪うつくしや泥になる 小川軽舟
接木してつながる肉の疎ましき 長谷川櫂
西もひがしもわからぬ猫の子なりけり 久保田万太郎
露の幹静かに蝉の歩き居り 高濱虚子
庖丁も厨もゆだね桜鯛 中村汀女
揺らぎ見ゆ百の椿が三百に 高濱虚子
ぼうたんの百のゆるるは湯のやうに 森澄雄