賀状刷るその一日を楽しみに
筆を止め筆を止め書く年賀状
行く年のポストの中の年賀状
投稿者: ハードエッジ
twitter専業俳人ハードエッジです。
年末 【年の暮】 吊り下げて鮭の朱を削ぐ年の暮
遠き町に雪の予報や年の暮
年の瀬の雪の覚悟に霙とは
飴色の大根の痩も年の暮
冬 【手袋】 うれしくてその手袋で手をたたく
手袋を知らぬ紫式部の手
手袋で好きな絵本を撫でてをる
手袋はもしや眠れる猫の下
冬 【おでん２】 おでん屋の俳句の下手を肴かな
駅を出て徒歩一分のおでんの灯
おでん屋の出戻りの娘に通ふなり
今年あと余すところのおでんの灯
俳壇賞落選供養 葉書俳句 全部入り 12枚 2016-2023
俳壇賞落選作抄
２０１６～２０２３、全１２枚
、、、順次追加予定
全然堂 葉書俳句 2023 全部入り 全５１枚
全然堂 葉書俳句 ２０２３
全然堂歳時記、開発素句報、落選供養など
全５１枚セット
開発素句報 2023 葉書俳句 全部入り ９枚 行く年へこれが今年の全部なり
開発素句報 2023
全９枚
開発素句報 2022 葉書俳句 全部入り ９枚
開発素句報 2022
全９枚
開発素句報 2021 葉書俳句 全部入り ５枚
開発素句報 2021
全５枚
開発素句報 2020 葉書俳句 全部入り ６枚
開発素句報 2020
全６枚
角川俳句賞2023 落選作 プランＢ 図書館に千万の著者野分の夜
梅漬けし功に賜る赤き爪
長茄子は寝そべるやうな長さなり
寝返れば去年がころりと今年かな
秋 【秋の暮】 この町に産科の灯あり秋の暮
神々も寂しかりしや秋の暮
原つぱも喇叭も消えて秋の暮
町の子に町の寂しさ秋の暮
冬 【小春】 百獣の王の瞑目小六月
小春日のそれは小さなエピソード
座布団や小春日和の人を待つ
小春日や枯れ行く草を暖めて
秋 【虫】 暗闇に緑の虫の鳴けりけり
鳴き通す図書館裏の本の虫
童謡が「あれ」と歌ふよ虫の声
この頃の虫の弱音や数も減り
開発素句報 2023-08 秀句あれ運動会は晴れ渡り
秋晴のマンション写真撮れさうな
桜紅葉桜黄葉とうち混じり
船外に泳ぎ遊ぶや天の川
秋 【流れ星２】 命終に一つは欲しき流れ星
満天の星に送られ流星は
流星に潮吹き上ぐる鯨かな
流星の降り止まぬ夜もいつか来て
角川俳句賞2023 落選作 プランＡ 風薫る富士は日本一の山
変換の挙式と出でし虚子忌かな
シュッと出る泡の石鹸若葉の夜
真空を自由落下の羽根布団
秋 【鵙の贄】 長き尾を垂るる哀れや鵙の贄
のびのびと長き蛙や鵙の贄
鵙の贄鵙の帰りを待つ如く
鵙の贄月の光に冷ゆるかな
開発素句報 2023-07 ああこれが秋の寒さか雨も降り
朝顔の花が減り葉に穴があき
朝夕の六時の暗さ曼珠沙華
柿の実に装填されし種八個
開発素句報 2023-06 掛布団秋の重さとなりにけり
荒ぶるや門の仁王と菊の武者
桃の実の花柱名残といふあたり
穴のあるナットと穴のなき木の実
開発素句報 2023-05 この小さき鶉の卵から雛が
紫外線浴びて真赤な鶏頭花
団栗が旨し縄文土器を焼く
失敗を面白がつて夜の長し
開発素句報 2023-04 炎天はガスの炎と同じ色
頂上の光るは雪か雲の峰
酷暑日は本も机もほつかほか
町川の夕立濁りの塵芥
夏 【金魚】 終戦の後の復興金魚玉
ぽたぽたと金魚を注ぐ金魚鉢
土嚢の如く金魚掬ひの子ら蹲踞む
金魚ゆらゆら母船を待つてゐるやうな
夏 【蟬生る】 暁闇や決死の蟬が穴を出づ
蟬の穴地下から掘つて来りけり
蟬の殻ぬるりと抜けて生れけり
羽化の蟬飛んで風化の蟬の穴
夏 【雲の峰】 恐竜がずしんずしんと雲の峰
また一人行者降りくる雲の峰
空母対空母積乱雲真白
天上へ入道雲ののしあがる
夏 【夏休】 夏休み第一日目日の出前
夏休お代りをして褒めらるる
変てこな塔の工作夏休
いつまでも手を振る別れ夏休
夏 【昼寝】 吾輩と苦沙弥先生昼寝の図
ひるねしてみんなぐうぐうねましたと
庭先に水着吹かるる昼寝かな
昼寝覚この世が雨に煙りをる
開発素句報 2023-03 浴衣着てエレベーターの硝子張り
万緑に光合成の今や旬
炎天をスポーツカーの真つ赤なり
水は清きわが故郷に帰省かな
夏 【香水】 小癪なる香水瓶の小兵ども
香水の後を黒衣の揚羽蝶
香水や両肌脱ぎの夜会服
香水の瓶を融かして何作ろ
夏 【螢】 ほうたるの余命を刻む点滅ぞ
冠に二つ火のある螢かな
連絡船は磁気嵐とや螢の夜
螢火の歓喜観音様来る