行く年の袋小路の三輪車
ゆく年や湯に湯加減を問はれをる
行く年の窓開けてみる直ぐ閉める
俳人、葉書俳句「開発素句報」「全然堂歳時記」発行人。
行く年の袋小路の三輪車
ゆく年や湯に湯加減を問はれをる
行く年の窓開けてみる直ぐ閉める
数へ日にドプラー効果あるやうな
数へ日に宅急便を待たす罪
数へ日の街が暮れ行くカフェオーレ
言葉さへ躓くやうに日、みじか
葱細く大根太く日短
短日の終点にゐる電車かな
枯木にも電飾の綺羅クリスマス
待つ人に後光の如く聖樹立つ
紅白に着膨れてゐるサンタこそ
ゴジラいま地球の味方花吹雪
爽やかに引きし補助線仮説成る
ティアラして雪のディズニーランドかな
御無念の殿に代りて雪女
雪女郎ながす涙のガラス玉
寛いて一風呂あびよ雪女
虹の根を煎じて飲めと言はれけり
東京で見かけし電車夏の山
ことことと弱火のちから冬籠
やすらかや蜜柑に淡き花の跡
裏打のもやもやもまた蜜柑なり
幼子が母に剥きやる蜜柑かな
根つからの大根畑でありにけり
大根があれば何とか成りさうな
ライオンは食はぬ大根我は食ふ